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 私は明利さんを全く愛していない訳ではなかった。けれども、安西君という存在が表れてから、私の心は変わってしまった。  遠い存在を思う事で現実逃避している自覚はあった。  明利さんに悪いと思いながらも。あれから明利さんに抱かれるのが億劫になってしまった。  けれども、私の心は矛盾していた。明利さんと別れたいとは思わなかった。  きっと、私は彼の事も愛してはいる。二人の男性を愛した最低な女。そんな私は、罰が当たっても仕方はない。  これでこの前の奥さんに殺されたとしても、仕方ないと思った。 「驚かないの?」  奥さんに聞かれてしまった。 「別に……」  私は視線を落とし、また視線を海へ転じた。
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