1/7
前へ
/693ページ
次へ

「そりゃお前、面倒な事に巻き込まれたなぁ……」  分駐所に帰るなり、馬場警部補はうなった。 「はい、まぁ……」 「モテる男ってのは辛いっすね」  池村が横から口を挟む。彼の方がモテると思うのだが。俺はムッとした。 「そりゃどういう意味だよ」 「決まってるじゃないっすか。あの弁当屋の女、主任の事が好きだったんですよ、きっと」  池村は書きあげた書類をトントンと、デスクの上で合わせながら言う。 「まさか。俺、高校ン時ほとんどしゃべった事なかったけどな。それに俺は不良だったんだけど?」 「相手は優等生?」 「まぁ、うん。真面目ではあったが、特別勉強が出来る訳ではなかったけどな。都内の短大に進学したって言ってたけどな」  記憶を辿ってもそれ位しか思い出せない。後は、ノートを借りたり宿題を写させてもらった記憶しかない。 「優等生の裏返しって事で、不良に憧れるもんですよ。真面目少女は」  池村にしては、説得力がいくような事をしゃべるので、やや驚きを覚えた。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加