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「そりゃお前、面倒な事に巻き込まれたなぁ……」
分駐所に帰るなり、馬場警部補はうなった。
「はい、まぁ……」
「モテる男ってのは辛いっすね」
池村が横から口を挟む。彼の方がモテると思うのだが。俺はムッとした。
「そりゃどういう意味だよ」
「決まってるじゃないっすか。あの弁当屋の女、主任の事が好きだったんですよ、きっと」
池村は書きあげた書類をトントンと、デスクの上で合わせながら言う。
「まさか。俺、高校ン時ほとんどしゃべった事なかったけどな。それに俺は不良だったんだけど?」
「相手は優等生?」
「まぁ、うん。真面目ではあったが、特別勉強が出来る訳ではなかったけどな。都内の短大に進学したって言ってたけどな」
記憶を辿ってもそれ位しか思い出せない。後は、ノートを借りたり宿題を写させてもらった記憶しかない。
「優等生の裏返しって事で、不良に憧れるもんですよ。真面目少女は」
池村にしては、説得力がいくような事をしゃべるので、やや驚きを覚えた。
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