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 同級生だから、何もかも知っているという訳ではないから。 「じゃぁ、ちょっと聞きますが、安西さんは千葉の館山出身だとお聞きしましたが」  湯浅警部は今原が淹れてくれたお茶を啜りながら、問う。 「あ、はい? えぇ、そうですけど」 「実はですね、今井さんの前の奥さん、今井さんと別れた後、彼女は館山に別荘を買ったそうなんですわ」 「別荘ですか」  それはまた、リッチな話だ。別荘ねぇ。 「どちらの別荘か、分かりませんかねぇ」 「そこまでは、僕も知りませんが……」  おそらく刑事課は、今井さんの前の奥さんを疑っている。別荘については館山の地元の人に聞けばわかる話だろう。  館山という地を選んだのも、増原さんを意識して選んだのだろうから。 「分かりました。ちょっと同級生や親に当たって聞いてみます」  俺は立ち上がった。
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