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「その今井の前のカミさん、何考えてるんっすか。警察はそこまで暇じゃないんですよ」  俺は呆れた。何故、俺が持っていかなければならない? 「俺だって同じ気持ちだ。しかし、ご指名だ」  馬場警部補も半ば呆れた顔をしていた。金持ちマダムの遊びに付き合ってられないという顔。  そして、増原さんを心配している顔。  俺も正直、増原さんが、心配だ。しかも誘拐ならば。  白バイ隊員である以上に警官として、命を助けねばならないだろう。 「分かりました。それで、増原さんの命が助かるのなら」  俺は短く嘆息した。  今すぐ館山に行かなければならない。  分駐所を出ると、パトカーが待機していた。    心配そうな顔の悠子。そして今井さんが俺にすがるような表情を向ける。 「二人とも、心配しないで」  俺は短くそう言って、パトカーに乗り込んだ。
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