902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
「へ?」
俺と増原さんの声がハモった。じゃぁ、何だ。やっぱり、金目当てか?
俺はてっきり、今井さんとやり直したいと思っていたのだが。元夫が若い女と再婚した事に腹を立て、今回の事件を引き起こしたとばかり思っていた。
「じゃぁ、何っすか、目的は金ですか?」
俺はついつい、投げやりで少年のような口調で問うた。
ふと、俺の隣にいる蓮人君の顔を見る。怯えているようにも見えるが、何か知っていそうな顔。
少し夕日のように顔が赤い。恥ずかしそうでもあり、ハラハラしているようなそんな表情だ。
眉尻が上げ下げし、瞬きも増える。
(ははぁ……)
俺はにやり。と口角を上げた。
「そうか、少年! 君も色々あるんだな」
俺は同情めいたようなセリフを蓮人君に言う。彼の肩をポンポンと叩いた。
小首をかしげる、増原さんと山田さん。
俺は山田さんの方を、キッと睨みつけるように見た。
最初のコメントを投稿しよう!