1/3

902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ

 俺は居住まいを正した。 「お母さん、あなたね」  山田さんを、俺はお母さん呼ばわりした。警察官らしい口調で。 「息子さんを思うなら、辞めなさい。こんな事。貴女はお金も欲しかった。でも、彼女を恨んでたんですね?」  山田さんの肩が跳ねた。俺が予想している事はおそらく図星だ。蓮人君は、惚れている。増原さんに。  その事に山田さんは、腹を立てたのであろう。  元夫の再婚相手に、惚れた息子に腹を立てた。  どいつもこいつも、何でこんな女が好きなのよ。と、まぁ、この女の心境はそんなところだろう。  自分のかわいい息子まで、増原さんに惚れた事に腹を立てたのだろう。 「増原さんは、ライバルだったって訳だ。あんたにとって」  全て分かった俺は、勝ち誇った口調で言ってやった。 「だから、私は主人となんて……」 「分かってますよ!」  俺はまた口角を上げる。息子さんを目で示した。すると、増原さんの顔は青ざめた。  やはり、図星。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加