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「安西さん、どうしましょう」
困った表情を今井さんは浮かべ、俺に助けを求める。
「はい?」
「唯香が離婚したいと言いまして」
あぁ……。だろうな。俺は短く嘆息した。説得できるだろうか。金はあるとはいえ、コブツキの男になってしまった。大抵の女は毛嫌いするだろう。
「アイスコーヒーだけどいい?」
「あ? あぁ。すまん」
Mサイズのアイスコーヒーはたっぷり大きめのグラスに、入っていた。
ストローでそれをすする。
「増原さん、何で離婚したいの?」
理由は分かっていたが、尋ねた。増原さんは視線を下に落とした。
「まぁ、息子さんの事はあるけどさ」
「いや、息子は……。青森の、家内の妹の所で暮らすといいまして。家内の妹も、蓮人を引き取りたいといいますもんで……」
「そうでしたか……」
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