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「もう、いい加減にしなさい!」
私は苛立ちを含めた怒りを発してしまった。ただでさえ、忙しい。けれどこういう時、子供は我儘を言うものだ。
琴音は思い切り頬を膨らませ、また拗ねてしまった。
翌日。
予定通り、大宮の駅へ向かった。
この辺は閑散とした雰囲気ではあるが、大宮の駅まで近い。駅が近くなると、都会になって行く。
「パパ来るかな」
琴音はワクワクしながら、バスの中で窓の外に視線を転じていた。
琴音はあまり、父親と顔を合わす事がない。朝の忙しい時間に少し顔を合わせる程度。
刑事課経験が長い夫は、いつも忙しい。体がもつのか本当に心配になる。
幸太は私のひざの腕で大人しく眠っている。
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