902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
夫の顔は疲労が滲んでいた。
職場結婚だった私達。お互い、バツイチだった私達。互いに惹かれ合って一緒になった。一緒に刑事をやっている時は、彼はもう少しイキイキしているように見えたが。
今は警部という階級になり、警察の中で地位も高い。色々苦労もあるだろうし、悩みも多いだろう。
「どうした?」
夫に話しかけられ、私はハッとした。
「あ、いや、何でもない」
私は心の揺れを隠し、居住まいをただし、運ばれてきたハンバーグに手をつける。平日だけど、店内はまぁまぁ混んでいた。
店を出た後、また義母の入院している病院へ向かう。
「琴音、もう疲れちゃった」
ぶぅっと琴音はまた、頬を膨らます。この子の悪い癖だ。
「こうちゃんもー!」
弟の幸太もお姉ちゃんの真似をした。
毎日、子供を振り回しているのだもの。それは疲れるよね。
「ごめん。今日もう一度行くよ。おばあちゃん、可哀想でしょう」
私は子供達を説得した。
すると琴音は真剣な顔をして、頷いた。まだ五歳の彼女にどこまで理解出来たかは分からない。
最初のコメントを投稿しよう!