番外編 元女刑事家出する

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 夫の顔は疲労が滲んでいた。  職場結婚だった私達。お互い、バツイチだった私達。互いに惹かれ合って一緒になった。一緒に刑事をやっている時は、彼はもう少しイキイキしているように見えたが。  今は警部という階級になり、警察の中で地位も高い。色々苦労もあるだろうし、悩みも多いだろう。 「どうした?」  夫に話しかけられ、私はハッとした。 「あ、いや、何でもない」  私は心の揺れを隠し、居住まいをただし、運ばれてきたハンバーグに手をつける。平日だけど、店内はまぁまぁ混んでいた。  店を出た後、また義母の入院している病院へ向かう。 「琴音、もう疲れちゃった」  ぶぅっと琴音はまた、頬を膨らます。この子の悪い癖だ。 「こうちゃんもー!」  弟の幸太もお姉ちゃんの真似をした。  毎日、子供を振り回しているのだもの。それは疲れるよね。 「ごめん。今日もう一度行くよ。おばあちゃん、可哀想でしょう」  私は子供達を説得した。  すると琴音は真剣な顔をして、頷いた。まだ五歳の彼女にどこまで理解出来たかは分からない。    
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