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「あぁ、ごめん。そういうつもりじゃ……」
夫はしまった、と言わんばかりにたじろいだ。慌てながら否定し、両手をブンブン振る。
「私の苦労分かってる? ねぇ……。パートして保育園に子供二人預けて」
考えたらジワッと涙が出て来た。
「いや、無理にさ仕事に出なくてもいいじゃん」
また、慌てつつ彼は手を振る。
「そうじゃないでしょ! そうじゃ!」
例の自民党の女性国会議員みたいな口調になってしまった。流石に「ハゲー」とまでは、言えない。彼は別に、ハゲていないから。
「悪かった、悪かったって」
「京ちゃんは、私が浮気でもしてると思ってたんだ?」
一抹の悲しさがこみあげてきた。別になんてことない会話かもしれないけれど、普段の私ならスルーするかもしれない。何もこんな感情的にならなくてもいいのに。そうでしょ? ううん。でも悲しいの。と、私は自問自答した。
子育てだらけで、息が詰まるから仕事をしているのに。私だって警察の仕事を続けたかった。
でも警察の仕事は時短勤務も出来るかもしれないけれど、結局ハードで、子供たちの事を考えて辞めた。
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