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「私だって元刑事だから、貴方の仕事は理解してるつもりだった。ハードな事も知ってる。 だけど、貴方、私の苦労分かってないでしょ」  目頭が熱いまま、私は夫の方をキッと睨む。  状況が最悪な事に琴音は、まだ幼いながらもハラハラしていた。子供の前で夫婦喧嘩だってよくない。  小さな心を痛めただろう。  娘に申し訳ない気持ちになる。  荷作りも簡単に完成した。  私は幸太を抱っこして、スッと立ち上がる。 「琴音もおいで」 「おい、どこにいくんだ」  ハラハラしながら、夫は聞いて来るが、私は返事をしなかった。  気がつくと黙って彼の実家を出ていた。
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