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「あぁっ、すみません。眠ってしまって。あの、何か出前でも取りますね」  悠子は身を起こした。  例の中華弁当屋に電話をかけようと、受話器を取った。 「何にします?」  悠子に聞かれきょとんとする、林田警部。俺が林田警部に説明した。中華料理で何が好きか尋ねた。 「いや、そんないいよ」 「いえいえ、遠慮なさらずに。何でも好きなもの、おっしゃって下さい。私たちの奢りですから」  悠子はおそらく、林田警部が元気がない事に気付いている。何となく気を遣うような口調だった。 「君らは、何にするんだ?」  元気のない顔で、俺達二人に交互に視線を向けて来る。悠子は「あたし達は、いつも天津飯なんです」と言うと、林田警部が「じゃぁ、俺もそれ」と、どうでもいいような返答だった。 「元気出して下さい。ここの天津飯、マジでうまいっすから」  俺は警部の背中を、軽めにパシッと突いた。
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