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「あぁ、そういう事件ってありますよね」 「そうそう。まぁ、俺ら男性刑事は中に入るわけにもいかず、後で話を聞いただけでな。麗子や他の地域課の女性警察官に任せっきりだった。被害者女性からも、麗子と二人きりにしてほしいなんて言われたから、席を立つしかなかったしなぁ」 「そこまで覚えてて、どんな事件かは、分からんかったんっすか?」 「ストーカーの事件という事までは覚えてるんだが。どんな事件だったかは詳しくは覚えてない」 「あぁ……。まぁそうですよね」  女性警察官じゃないと、出来ない仕事もいっぱいあるという事だ。 「でも、きっと関東近辺の温泉ですよね。きっとその被害者女性だったでしょうから」  悠子は俺と同じセリフを発しながら思案を巡らせ、少し上を向いた。 「あ、そっか……」  林田警部はその辺については、鈍いらしい。そこでやっと、なるほどと納得した。  
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