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(林田麗子)
私はそのまま、伊香保へ向かった。
東京から伊香保は新幹線を使えば、近い。
(刑事時代、京ちゃんと伊香保まで捜査しに来た事あったなぁ)
ふと、何年も前の事が、懐かしく思う。
伊香保は、渋川から山へ走らせたところに位置する。所謂、有名な温泉街だ。
山の中の温泉地。
バスの中から流れる風景を見ていると、訳ありそうなカップルは沢山歩いていた。
刑事を経験していると、そういったものは見ただけで分かってしまう。
若いカップルの中にも、不倫であろうカップルはいた。家族の目を忍んでやってくるには、山の中の温泉は人目につかないから、過ごしやすいのかもしれない。
目的地の停留所で下車する。
そして、私は目的の宿まで歩みを進めた。
「ママー、どこ行くの?」
琴音は、不思議そうに首を傾げながらついて来る。
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