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そんなお部屋、仕事でしか泊まった事がなかった。
「はい。麗子さんにはお世話になりましたから」
ペコリと彼女は頭を下げた。無事で暮らしている事に私は安堵を覚えた。
「あの、ご主人と喧嘩なさったって、大丈夫ですか?」
彼女は心配そうに、眉を八の字にさせる。今度はパターンが逆になってしまった。私が心配される立場になってしまった。
「大丈夫よ、うん」
と言いつつ、少し大胆な事をしてしまった事に後悔はしている。けれども、こんな行動を起こしてしまうのも、私。
堪忍袋の緒が切れてしまっての行動だった。
「そうでしたか……。また御用がありましたら、何なりとお申し付けくださいませ」
彼女は丁寧に仲居らしさが身についたまま、頭を下げた。
「琴音、幸ちゃん、お風呂入ろうか」
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