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「あらあら、ご主人」  大川社長は、うちの夫に頭を下げた。何度もうちの夫と大川社長も面識がある。 「どうも、いつも麗子がお世話になっていまして」  今度は深々と夫は頭を下げた。 (それにしても、よくここが分かったなぁ)  私は目を瞬かせ、大川社長と夫を交互に見た。 「じゃぁ、私はお暇して、温泉にでも入って来るから」と大川社長。 「いえ、あの、そんなお気遣いなく」  できれば大川社長に側に居てほしかった。けれどもそれはきっと、甘えなのだろう。 「いえいえ、何をいうの。後はお二人でじっくり話し合って。ね?」  大川社長は私の肩をポンと、叩く。そんな中、夫は隣で、大川社長に告げた。 「あの、夕飯はご一緒しましょうよ」 「あら、いいの? 夫婦で話し合った方がよくない?」  大川社長は心配そうに私達を見る。でも少しの間だけでも大川社長にはいてほしかった。  村井さんには、こっちに夕飯を運んでもらうように、頼んだ。
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