902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
「あらあら、ご主人」
大川社長は、うちの夫に頭を下げた。何度もうちの夫と大川社長も面識がある。
「どうも、いつも麗子がお世話になっていまして」
今度は深々と夫は頭を下げた。
(それにしても、よくここが分かったなぁ)
私は目を瞬かせ、大川社長と夫を交互に見た。
「じゃぁ、私はお暇して、温泉にでも入って来るから」と大川社長。
「いえ、あの、そんなお気遣いなく」
できれば大川社長に側に居てほしかった。けれどもそれはきっと、甘えなのだろう。
「いえいえ、何をいうの。後はお二人でじっくり話し合って。ね?」
大川社長は私の肩をポンと、叩く。そんな中、夫は隣で、大川社長に告げた。
「あの、夕飯はご一緒しましょうよ」
「あら、いいの? 夫婦で話し合った方がよくない?」
大川社長は心配そうに私達を見る。でも少しの間だけでも大川社長にはいてほしかった。
村井さんには、こっちに夕飯を運んでもらうように、頼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!