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あまり夫婦喧嘩をしない私達。交際している時から、そういえば喧嘩はあまりしなかった。
大川社長が去った後、少し沈黙が降りた。
「どうしてここが分かったの?」
私はおずおずと、尋ねた。
「安西の所に行って、過去の事件について色々調べてもらったんだ」
「え? 安西君と悠子ちゃんの所へ?」
「あぁ、そうだ」
なんという事だろう。悠子ちゃんは今、お腹に赤ちゃんがいるのに、迷惑にならなかっただろうか。
「もう、やだ、何、迷惑かけてんのよ」
「本当になぁ……。でもさ、何かあいつらの事が頭に浮かんだんだよ。悪いと思ったが、会いたくなった」
夫はバツが悪そうな顔をする。夫の心情は理解出来た。私だって直接仕事をした事がある訳ではないけれど、あの夫婦は好きだし仲良くしたい。
「悠子ちゃん、お腹大きいんじゃないの?」
「そうだな。男の子だって」
「そうか……。何か、お礼しないとね」
私が言うと、夫は思い切り頷いた。聞くところによると、天津飯をご馳走になった上に、泊めてくれたそうだ。
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