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私たちが夫婦喧嘩をすると、周りにも迷惑をかけてしまうようだ。まずは、私から謝ろう。
息を吸って、意を決し「ごめん」と言った時だった。
彼も一緒に頭を下げ、見事に言葉がハモってしまった。
お互い顔を見ては、吹き出してしまった。
「パパー!」
テレビのアニメを見ていた琴音が、走って来た。夫は重たくなった娘を抱っこした。
「パパもお風呂に入りに来たの?」
「そうだよ」
「ここのお部屋ね、お部屋のお風呂があるよ」
「そりゃ、凄いなぁ」
彼は笑いつつ、私の顔を見た。
「偉く奮発したんだな」
そう苦笑いする彼の顔には、金は大丈夫か?と、しっかり書かれていた。私は事情を話した。
村井さんがお部屋を変えて下さった事を、話すと彼は困った顔をして眉を顰める。
「俺達が夫婦喧嘩すると、こんな風にみんなに迷惑がかかるんだな」
「そうみたいね……」
本当にその通りだ。
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