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 鈴木利里という女性は取調室から、一般の部屋へ移された。  私はもう現職の刑事ではない為、取調室の利用が出来ないからだ。  六畳程の一般的な会議室の部屋だった。  再び警察署へ到着すると、湯浅警部が私を再び出迎えてくれたのだった。ここの所轄署は今、刑事課に女性刑事がいないらしい。  女性刑事を配属した方が良いと思うのだが。 「すみませんねぇ」と、湯浅警部。 「いえ」 「いやぁ、貴女には警察官をやめてほしくなかったですねぇ」  湯浅警部は少し残念そうに、微笑した。  六畳程の会議室に通された私は、鈴木利里と向き合った。彼女は「あっ」と短く声を漏らした。 「どうも」  私は苦笑しつつ、椅子に腰かける。きょとんとしたまま、彼女は私に視線を向けた。  
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