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「貴女、高崎の商業施設で彼女に会ったそうだね?」  湯浅警部はよっこらしょっと、椅子に腰かけながら鈴木さんに問う。彼女はきょとんとしたまま、静かに頷き首肯した。  私は頭の中で何を問うべきか、思考を巡らせていた。なんせ警察から通ざかり何年も経過したから、頭が急に働かない。  東京から関西に移住する事がなければ私も、警視庁で女性警察官として働いていたかもしれない。  子育てしながら、警務課とか時短勤務というやり方で、女性警察官として活躍するのは夢でもあったが。 「こちらはね、元警察官。元刑事さんの林田麗子さんと言いまして」と、湯浅警部。  へぇ。と何の警戒する事もなく彼女はペコリともう一度、私に頭を下げた。 「ええと、鈴木利里さんですね?」  私は確かめると彼女は「そうです」と首を縦に振る。  大体の事情は聴いていた。
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