902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
ではもう少し探ってみようか。
「うーん。なるほど。二十代の女性っていうと蕨だったら、京浜東北線で、銀座とかに買い物に行く訳？」
「そうですね。銀座もですけれど。大宮も」
真っすぐな目で首肯する彼女。言葉こそは静か。そして凛とした表情だ。
「じゃぁ、聞くけど、あんた光山みのりさんとはどういう関係かね？」
湯浅警部が身を乗り出した。少し、彼女の顔が変わった。
眉を少し顰め、頬の筋肉が緊張しているように思えた。
「ただの会社の同僚です」
「仲良くはなかった？」
「はい、全然」
ふむ。と、湯浅警部はため息をついてから、続けた。
「あの洋服は、何で取り合いになったの。しかも高崎で」
すると鈴木さんの顔が少し青くなった気がした。
「私は群馬県出身なんです。実家に少し顔を出すついでに。いけませんか？」
最初のコメントを投稿しよう！