1/12

902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ

 ますます、鈴木さんの顔は不快な表情になる。コロコロ変わる人の表情を見るのは私は好きだった。元刑事の血が少し騒ぎ始めた。 「ねぇ、どうして? 私は水色を購入したわ。他の色じゃダメなの?」  私はしつこく質問を続けた。すると、突然鈴木さんは睨みつけて来た。 「貴女みたいな綺麗な人には分からないわ!」 「は?」  私は首を傾げた。 「薄い水色やピンクは膨張するの。太って見えるでしょう。貴女みたいに細くてきれいな人じゃないと、似合わないのよ」  やや声を荒げる言い方。  私に敵意丸出しに向けてくる。 「そうかしら……」 「そうよ! きっと貴女みたいな人は、男性も選び放題だったんでしょう! 綺麗だから」  女の嫉妬むき出しに言葉を向けてくる。やれやれと、湯浅警部は隣で肩を竦めている。女は厄介だ。とでも言いたいのだろう。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加