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「まぁまぁまぁ、落ち着いて下さい」  湯浅警部は少し立ち上がり、窘めた。 「ははは。綺麗だと色んな女性から恨まれて大変ですな」  湯浅警部は、今度は私に同情するようなセリフを発する。 「何か分からないけれど、私は昔から女性に嫌われるんですよ」  中学生くらいの時からそうだったな。と少女時代の記憶を辿る。あまり少女時代に良い思い出はなかった。  田舎の青森県で育ち、高校も地元の高校へ進んだ。それなりの進学校だったが、私はあまり女子生徒には好かれていなかった。  でも、こんな私でも仲良くしてくれた子も割といたから、今思えば、有難い。 「その美貌だからですよ」  湯浅警部はそう言ってから、視線を彼女に向けた。 「あんたね、その言い方だと、男のいざこざが三山さんとあったかね?」  私もそんな考えが過った所だった。チラリと探るように鈴木さんに視線を転じる。  唇を結び、下を向く仕草は首肯とみていいだろう。
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