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彼の方はほぼ、シロだという。アリバイがあり、成立しているからだった。
私は鈴木さんに再び質問した。
「貴女は、三山さんを殺した?」
すると、大きく彼女はかぶりを振って否定した。ここまでは想像想定内。予想通りだ。
彼女は殺していない。
彼女の足元、体、顔の微行動を全てチェックした。
嘘偽りはなかった。
ただ、何か隠しているのは間違いない。それが何なのかが分からない。
「あの、そのカレシ、私も会わせて頂きません?」
湯浅警部に問うと、湯浅警部は目を瞬かせたが「分かりました」とすぐに承諾してくれた。
間もなく他の制服を着た警官に連れられてきた男は、本当に端麗な男だった。背は百八十程あるだろうか。長身で痩躯。
二重に顔のパーツもくっきりしている。鼻が高い。そして痩躯のわりに筋肉質なのは、スポーツでもしていたのだろう。
名前は向井真人。二十七歳と若い。スポーツ用品店を作っている、製造業の会社に勤務している。
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