6/12

902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
「三山みのりさんが、ひき逃げされた時間、貴方は板橋区内のコンビニで買い物をしていた、と。防犯カメラに写ってる。これも事実ね」 「はい……」  嘘偽りない。隣の鈴木さんの方を見る。何故か落ち着かない様子で下を向き、目を閉じる。 (逃げてる……)  何故、この人が逃げたい気分でいるのか分からない。 「三山みのりさんは、どうして高崎にいたの?」  私は、質問を変えた。それには鈴木さんの方も反応した。少し顔を上げる。そして恐る恐る私の方を見たから。 「知りませんよ」  勘弁してくれと言わんばかりに、向井真人はムッとした顔をする。口は思い切りへの字になっている。  不快すぎてしょうがないのだろう。  鈴木さんは短いため息をついてはまた、視線を下に落としていた。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加