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「少し私の予想を述べてみましょうか」
私は居住まいを正し、お二人を交互に見た。
「三山みのりさんを殺害したのは、鈴木利里さん。ではありません」
その言葉に二人共、視線を同時に私に向けた。鈴木さんは目を瞬かせた。
「鈴木さん、貴女がかばっているのは、向井真人さん。彼が殺害したと思っているのですね?」
鈴木さんの肩がほんの一瞬跳ねる。
彼女はイエスとも、ノーとも言わない。ただ黙っていたが、視線を私と合わせようとしない。
気まずいから。目を反らしたまま瞬きは増える。緊張が伴っているのは間違いない。
「何言ってるんですか。本当に、もう。僕はちゃんとアリバイがあり、先ほど別の刑事さんにも、理解してもらった所なんですけどね!」
向井はやや興奮していた。眉は吊り上がり、鼻が動く。
「私はこう考えています。確かに貴方ではない。ただ別の人に頼んだんじゃありません? 防犯カメラに写っていた車は盗難車でした」
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