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 鈴木利里さんの顔が、えっ。という顔になる。チラリと、隣に座っている向井さんを一瞥した。  どうやらそこまでは知らなかったという事だ。  彼女は向井さんが殺したと思っている。そしてそれを決して口にしなかった。それだけ。  そこまでこんな男をかばう必要があるだろうか。自分を裏切った男なのに。 「貴女は何も知らないのかね?」  湯浅警部が、鈴木さんに問う。鈴木さんは首肯も否定もせずただただ、目を瞬かせているだけだった。  後の事は何も知らないのだろう。 「あんたは、この男が三山さんを殺したと思って、かばって黙っていたのかね」  湯浅警部の言葉に、鈴木利里さんの体が凍りついた。私が何も言わなければ、この人を守ったと向井さんは思い、また復縁できるかもしれないと、彼女は思っていたのだろう。 「こんな男とやり直さない方がいいわ」  私は、こめかみを掻きながら言う。恋は盲目。きっと鈴木さんは周りが見えていない。
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