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彼女の体はどんどん萎んでいく。肩を縮ませ、頭も下に下げた。
私は向井真人に再び、視線を移す。
「貴方、誰を利用したの」
その言葉に、えっ。と三人の声がハモる。湯浅警部もそこまでは考えつかなかったか。
「盗難車を使い、誰を利用したの? あの周辺の防犯カメラには黒いフェイスマスクをかぶった人物が写っていたそうだけど。
チェックのシャツに、ジーンズを着た人物。男か、女か分からないって言われてるみたいだけど、私はね、あんたの女じゃないかな。って思うんだけど?」
私の言葉に湯浅警部と、鈴木さんの顔が驚きの表情になる。そこまで予測していなかったという事か。
「あんた、まだ他に女がいるでしょう」
私は軽蔑する視線を、向井に向けた。
浮気をする男は、二度三度繰り返す。二股かける男は三股平気でかける。
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