902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
向井の顔は、呆然とし始めた。さっきまで、否定的であり不快な表情もしていたこの男。
抜け殻になったように、ぼんやりと空虚を向く。
「ねぇ、そろそろ話した方がいいんじゃない? 自分の罪がさ、重くならないうちにさ。
余計なお世話だけど、私には分からない。あんたみたいな二股、三股かける男のどこに魅力があるのか」
全て私の予想。当てずっぽうだ。何の根拠もない。ただ、浮気する男。ズルい男にありがちな行動パターンを、予想しただけだった。
「三山さんに、俺はゆすられてたんです」
「へぇ~。何で?」
湯浅警部は真正面を向き、向井と向き合った。
三山さんと付き合っていたのではなかったのか。一体、どういう事だろう。
「あんた、でも付き合ってたんだろう? 三山さんと」
湯浅警部は質問を確かめるように、する。
最初のコメントを投稿しよう!