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運転席の窓が開かれた。
少し髪が薄くなりかけた中年男性。けれども変な感じはしない。パリッとした紳士感が漂う。
イタリア製のセーターを着用しているあたりが、お洒落だった。
(これは、金持ちにあたってしまったか)
そう思いつつも「運転手さん、信号無視しましたよね?」と問う。普通ならば、ここで「してねぇって!」と、?みついて来るドライバーも多い。
「はい」
素直に自分の非を認めるあたりは、更に紳士さがアップしたと思われる。
「お急ぎでしたか?」
「そういう訳では」
「危ないんで、気をつけて下さいね。事故になりますから」
「はい、すみませんでした」
そのドライバーは黒い折り畳み財布から、免許書を取り出した。躊躇しないあたりもまた、凄い。
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