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「池村。奥さんが倒れたそうだ。堀井ンとこの病院に行け」
「えっ……」
嫌な予感は的中するものだ。俺は青ざめた。
「ありがとうございます」
俺は慌てて更衣室へ向かい、着替えた。
目の前の駅から埼京線に乗り、赤羽駅で京浜東北線に乗り換え、王子まで向かった。
北区がこんなに広い事が、身に染みた。
昭和の雰囲気が漂う商店街も、今は視界に入らなかった。いつもなら周囲の景色を見ながら楽しんで散策するところだが。
夕暮れの街は、どこか楽しそうな雰囲気が漂う。一日の仕事や学校が終わり、安堵している市民の様子が顔に出ていた。
俺は目的の病院に到着した。
病室番号は聞いていた。205号室。
ノックをし、ドアをあけると白いベッドに奈美が横になっていて、ゆっくり体を起こした。
佑里亜さんと彼女の小さな子供が、付き添ってくれていた。
「すみません、あの……」
俺は馬場警部補の妹さんに、頭を下げる。
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