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 混みあってくるこの時間帯。事故も増える。  北赤羽の分駐所を出て、公園の前を走行している時だった。 「あ、こごみちゃん」  俺はついつい、助手席で発してしまった。 「えっ、誰?」と、ハンドルを握りながら、安西主任。 「小寺警部補の娘さんですよ。あれ、見て下さいよ」  俺は公園の方を指さした。  こごみちゃんが、男の子二人に何かイチャモンつけられていた。同じ学校の男子児童だろうか。 「ありゃぁ、いじめかな」  安西主任が眉を顰めた。 「俺、ちょっと注意してきます」 「よし、頼んだ」  安西主任は、マークXを路肩に寄せて停車させた。俺は助手席から降り、 少年らの所へ歩み寄ろうとした。 「君ら、やめなよ」  俺が発そうと思ったセリフを俺の背後から聞こえた。思わず後ろを振り向くと、背は百七十位はあるだろうか。子供なんだろうが、いわゆるハンサム君だった。  ハンサム君だが、顔立ちはあどけない。多分、小学校、五、六年生だろう。
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