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 ハンサム少年はゆっくりと、イチャモンつけている少年二人に歩み寄る。 「下級生いじめて楽しい? やめなよ」  少年は二人に、詰め寄った。その二人は後ろへ一歩、二歩と下がる。逃げようとしていた。  こごみちゃんは、ピアノの稽古だったのだろう。  昨日とは違う、稽古バッグを持って顔を赤めて下を向いていた。 「ほほう。初々しいな」  いつの間にか安西主任が俺の隣に来ていた。応援するような視線を、安西主任は子供達に向けた。  少年二人は逃げるように、去って行った。  こごみちゃんの方を見ると、彼女の目はハートになっている。そのままヘナヘナと、座り込んでしまった。 (あー、こごみちゃん。このハンサム少年が好きなのか)  鈍感な俺でも、すぐに理解出来た。 「俺達の出番はなさそうだ、行こう」  安西主任に言われ、俺達は覆面パトへ戻った。  助手席の窓から、二人を見る。    先ほどのハンサム少年は、こごみちゃんに手を差し伸べている。こごみちゃんは、ポニーテール姿の髪型を揺らしながら、手を伸ばし、ゆっくり立ち上がった。  夕暮れの光で赤かった顔は、ますます赤くなった。 「青春だなぁ、憎いね」  安西主任はそういいながら、覆面パトを再び発信させた。  本当に、惚れてまうやろ状態だ。 「俺もこごみちゃんだったら、あの少年に惚れてたかもしれないっすね」
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