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「そうか、よかった」
こいつは、あの子の事をずっと好きだったもんな。良かった。
「この前やっと、映画に行けた所です」
「あー、そうか。この仕事してると、なかなかそういうゆっくりデートも行けないもんな」
「そうですね」
今原はまた顔を赤めた。周囲に視線を遣りながら。
早く幸せになってくれるのを、願うばかりだ。
そんな時だった。無線がけたたましく、ピピピと音を鳴らした。
『警視庁より、東西署管内。赤羽駅東側。交通事故発生……』
「わっ、マジかよ」
俺は聞いただけで、ウンザリした。これは行くしかないだろう。後で要請もかかる。
「池村さん、奥さんの退院、迎えに行けるといいですね」
「あぁ」
重いため息を漏らした。
そんな時、今原は赤色灯を上に点け、サイレンを鳴らす。
現場に直行だ。
無線からは詳細が流れて来た。
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