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俺が病院へ到着すると、奈美は受付で会計をしていた。
「あらっ」
きょとんとした目で、俺を見た。
「大丈夫なの? 来て……」
「あぁ、まぁ」
俺は頷きつつ、会計を終えた奈美と外へ出た。屈託のない笑顔を向けて来る奈美。
笑顔は愛嬌があり、可愛らしい。俺が来られて嬉しかったかもしれない。
「ねぇ、それより大丈夫なの? 昨夜、赤羽駅の近くで事故があったらしいじゃない」
「よく知ってるなぁ」
「知ってるよ。今朝のテレビのニュースで見たもん」
飲酒運転の事故だったと、奈美は教えてくれた。
その話題については、俺は無言になった。妻とは言え、あまり第三者に教える訳にはいかないから。
北赤羽の家に到着した時、ピアノの音色が流れて来た。
「あらっ、中央フリーウェイだ」と、奈美は嬉しそうに言う。
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