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「そんなに有名な歌なのか? 昔の歌だろう?」
何故奈美まで知っているのだろう。
堀井の話によると、恋人達が高速道路の中央線を調布や八王子までドライブしているが、その時、彼女の方が彼の愛に疑問を思った歌詞だという。
府中のビール工場や競馬場を横切った時、少しづつ彼女の方は、愛に不安を感じる。
私は愛されているのかしら。そんな乙女心が伝わってくると堀井は言っていたっけ。
「知ってるよ。有名な歌だよ」
「昭和五十一年に、リリースされた歌らしいが」
「まぁね。でも名曲だと、その時代産まれてなくても知ってるもんよ」
なるほど。
ふーんと鼻を鳴らしながら、家の中に入る。ピアノの綺麗な音色は部屋に少し響いていた。
「あぁ、この子上手よね。私この歌大好き」
奈美は夢心地に喋る。
「でも、あの子、小学生だろう? 学校は?」
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