5/15

902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
「今日は土曜日だって」  奈美はクスクス笑う。 「あ、そっか」  俺は土日も祝日も関係ない仕事をしているから、ついつい毎日が何曜日か忘れていた。  奈美は家に入った途端、ベッドへ向かい横になった。 「おい、大丈夫か?」 「うん、大丈夫」  ゆっくりと目を閉じる奈美。    綺麗な心地良いピアノのメロディが奏でる。こごみちゃんは、何度も中央フリーウェイを弾いた。  まるで楽しんでいるように。スキップをするような、心地良いリズム感で。 (この子、上手いな)  俺は感心した。    勤務明けなのに俺は少し高揚して眠れず、リビングでボケーッとしていた。 (こごみちゃんは、知っているかな)  あの惚れた少年のお父さんが亡くなった事を。  多分、知らないだろう。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加