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「今日は土曜日だって」
奈美はクスクス笑う。
「あ、そっか」
俺は土日も祝日も関係ない仕事をしているから、ついつい毎日が何曜日か忘れていた。
奈美は家に入った途端、ベッドへ向かい横になった。
「おい、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
ゆっくりと目を閉じる奈美。
綺麗な心地良いピアノのメロディが奏でる。こごみちゃんは、何度も中央フリーウェイを弾いた。
まるで楽しんでいるように。スキップをするような、心地良いリズム感で。
(この子、上手いな)
俺は感心した。
勤務明けなのに俺は少し高揚して眠れず、リビングでボケーッとしていた。
(こごみちゃんは、知っているかな)
あの惚れた少年のお父さんが亡くなった事を。
多分、知らないだろう。
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