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「そうなのか……」 「昭和の時代はよくあったって話。今は昔ほどではないけれど、あるにはある。普通に会社勤めしてたって、OLと上司の不倫なんてあるでしょう」  あぁ、確かに。奈美の言う事は最もだ。新人の交番勤務時代、会社員とOLが道端で泥酔したまま眠っており、保護したら家にだけは連絡しないでくれと、二人共言い張ったっけ。  品川のオフィス街でも、確かにそんな光景は何度も見た事があった。オフィス街の中にひっそりと佇むように存在している、隠れ家的なボロいラボホテルなんかは、訳ありそうなカップルが沢山いた。  これも地域課にいる頃、上司とパトカーで警らしていた時、よく見た光景だった。  当時の事を思い出し、少し嫌なため息を落とした。 「あの少年、良い子だったなぁ。親御さんも良い人なんだろうと思ったんだけど」  いや、まだ決まった訳じゃないじゃないか。佐々木先生が何をしていたかなんて。奈美の推測に過ぎないのだから。
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