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一太郎君というのか、あの少年は。
何だか昭和風の良い名前に、心が和むものがある。今はキラキラネームも多いから。
俺も奈美もよく考えてみたら、昭和風の名前だ。堀井もそうだな。
そんな事をよぎりながら、あの優しそうな少年の事が頭から離れない。
あんな良い子が何故、こんな悲しい思いをしなければならないのか。
「あの佐々木さんね、ご主人もよくここに来たよ。奥さんと一緒に」
「へぇ」
俺と奈美の声がハモる。いやはや、不倫はなさそうだが。でもそこのところは分からないが。
「佐々木さんはね、二人共お酒を飲まない人なんだよね。だから飲酒運転ってのが不思議でさ」
その言葉に俺はまた黙考した。
やはりその点が、誰が考えても不自然だった。
(誰に飲まされたか……)
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