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背広を着た、五十代半ばのサラリーマン。
「ちょっと、ちょっと、お父さん、起きて下さい」
俺は声をかけた。
起きる気配はない。
今原も運転席から降り、泥酔者を起こす。
「お父さん。こんな所で寝てたら、皆さんの邪魔になりますよ」
大きな声で彼は声かけをすると、その男はゆっくりと、身を起こした。通行人は、クスクス笑って通り過ぎる。
しかし、その男はまた眠ってしまった。
「仕方ない、応援呼ぶか……」
「そうしますか」
今原はそう言ってから、SWで応援を呼んだ。東西署の自動車警ら隊の警官らが到着し、泥酔者を運びパトカーへ乗せた。
後は風俗街の近くを通行すると、外国人のそれらしい女と客が揉めており、停めに入った。交通機動隊の仕事ではなかったのだが……。
切符を切れたのは、その夜はその一枚だけだった。
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