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「女性と一緒だったけど……。でも恋人同士って訳じゃない気もする」
俺の前にロコモコ丼を置きながら言う。
レタス、目玉焼き、ハンバーグにレンガ色のソース。彩もよく食欲がそそる色だった。
「というのは?」
「うーん。どうだろ。お互い子供の話をしててね。恋人同士というよりは、友達同士みたいな感じねぇ」
それでも分からないらしく、田原さんはうーん。と首をひねる。
相手の女も既婚者という事か。
「どんな女です?」
俺は、ドンブリの中をかき分けながら聞いた。
「結構いい歳だと思う。でもわかんないけど、女の方は佐々木さんに惚れてた気もするけどね」
また気になる返答が返って来た。
女性の一方的な片思いだろうか。
翌日は休日。
祝日だった。こごみちゃんの心地の良いピアノの音で目が覚めた。
こごみちゃんの先生は、ユーミンファンなのだろう。真珠のピアスを弾いた後、中央フリーウェイの調べが流れて来た。
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