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 こごみちゃんのライバル、早くも登場だろうか。  上手く行く恋だと思っていたのに。やはり、子供の頃の恋というのは、実らないものなのだろうか。  自分の事じゃないのに、切ない気分になった。  レモンを噛みしめたような、酸っぱい切ない気分。何も俺がこんな感じ方をする事はないのに。  きっとこごみちゃんは、俺以上に切なさは、ピークの筈だ。  こごみちゃんはそっと立ち上がり、こちらへ向かって来た。ふと、俺達と目が合う。  こんな時だが、こごみちゃんはゆっくり笑顔で会釈する。大人の対応だった。 「お姉さん、こんにちは」  細々と、落ち込んだ声で彼女は奈美に頭を下げる。 「こんにちは。こごみちゃん、ちょっと話そうか」  奈美は、いっちょ前にお姉さんらしくポンポンと、彼女の背中を叩いた。
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