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「十一歳か。羨ましいよ」  俺は素直に自分の感想を口にした。まだまだいくらでも、やり直しが効く。  俺はこんなハードな仕事を選んで良かっただろうか。自殺する人も多い。プライベートも皆無なこの仕事。  奈美と付き合い始めた時も、いちいちどこまで交際が進んだかを報告するのも、照れ臭かった。  でも白バイに乗りたかったのも事実。夢を諦めたくなかった。白バイの仕事は好きだから、幸せといえば幸せなのかもしれない。奈美には苦労をかけているが。  そんな中、こごみちゃんは「はい」と小さく頷いた。なかなか素直な子だ。そんな中、またこごみちゃんは違う表情を見せた。心配そうに眉を上下させ、何か考え事をしているように。 「佐々木君のお父さん、お酒は飲まないはずだけど」  切なげにつぶやいた。  やはり皆、そちらの方へ話が行くのか。 「有名な話なの?」  奈美が最後の一口をかじりながら、問う。
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