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まだ日中なのに、陽はゆっくりと西へ傾きはじめた。十一月や十二月よりは、日の入りは遅い方だけれど、やはりまだ冬なのだろう。
白い光と薄いオレンジの光が交互した。そろそろ帰った方がいいんじゃないだろうか。
しかし、多感な乙女心を放置しておく訳にはいかない。
「そっか、うちに来ない? こごみちゃん。温かいお茶でも飲んでいって」
奈美は俺と同じことを察したかもしれない。
そんな中、こごみちゃんは大人だった。
「いいんですか?」と、遠慮がちに目を瞬かせる。
「勿論よ」
奈美は優しい笑顔を見せた。
なかなか奈美も優しい子だ。その一面をみた瞬間だった。
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