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彼女は俺の指示に素直に従い、今からカーショップへ行くという。故障中の紙を貼ったまま、彼女はそのまま発進させた。
「府中か……」
何となく心に引っかかるものがあるが、それが何なのかが分からなかった。
午前中、切符は切れず。午後になり、やっと一枚切った。携帯電話使用だった。
夜の九時に分駐所を出て、宿舎に帰った。
音を小さくし、中央フリーウェイのピアノの音色が耳に入った。
「ただいま」
「お帰り」
奈美は食事を食卓に並べてくれた。その時「あのね」と奈美は突然切り出す。
「ん?」
「こごみちゃん、今日ずっと、中央フリーウェイ弾いてた」
「へぇ……」
奈美の話によると、いつもはショパンとかの音色も聞こえてくるらしいが、今日は中央フリーウェイだけだったという。
真珠のピアスや、アデューも弾かなかったらしい。何か意図があるのだろうか。
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