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こごみちゃんの両親も警察官である事から、俺が交通機動隊である事はむろん、知っている。
こごみちゃんの父親は、A署の生活安全課。母親は東西署の警務課。今回の交通事故の件にかんしては、無関係だ。
俺は少し関係はしているものの。
こごみちゃんは、俺に何か伝えたい事があるのではないか。それを中央フリーウェイに託している。そんな気がした。
ここ数日は、中央フリーウェイしか聞こえてこなかった。
とある、非番の日。
俺は仮眠を取った後、奈美と一緒に外へ出た。夕方だった。
たなびく雲はゆっくり流れ、北赤羽周辺の中層マンションのシルエットは浮かんだり、沈んだりしていた。
公園の前を通った時、ピアノ教室の帰り道のこごみちゃんとバッタリ会った。
軽く会釈するこごみちゃん。
今日は後ろで、両脇をいつものようにリボンのバレッタで留め、チャコールグレーのセーターと黒いスカートを着こなしていた。
大人びて見える。
「あぁ、あの、こごみちゃん。ちょっといいかな」
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