6/11

902人が本棚に入れています
本棚に追加
/693ページ
 こごみちゃんの両親も警察官である事から、俺が交通機動隊である事はむろん、知っている。  こごみちゃんの父親は、A署の生活安全課。母親は東西署の警務課。今回の交通事故の件にかんしては、無関係だ。  俺は少し関係はしているものの。  こごみちゃんは、俺に何か伝えたい事があるのではないか。それを中央フリーウェイに託している。そんな気がした。  ここ数日は、中央フリーウェイしか聞こえてこなかった。  とある、非番の日。  俺は仮眠を取った後、奈美と一緒に外へ出た。夕方だった。  たなびく雲はゆっくり流れ、北赤羽周辺の中層マンションのシルエットは浮かんだり、沈んだりしていた。  公園の前を通った時、ピアノ教室の帰り道のこごみちゃんとバッタリ会った。  軽く会釈するこごみちゃん。  今日は後ろで、両脇をいつものようにリボンのバレッタで留め、チャコールグレーのセーターと黒いスカートを着こなしていた。  大人びて見える。 「あぁ、あの、こごみちゃん。ちょっといいかな」    
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加