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「伊藤さゆりさんは、府中から転校してきたんだね?」  俺の問いに、こくん。と、こごみちゃんは頷く。真剣な表情だった。 「伊藤さゆりさんと、関係していると思ったが、俺は最初、佐々木一太郎君のお父さんと、伊藤さゆりさんのお母さんが良い仲なのかと、思った」  えっ。と、俺の言葉に驚いた奈美が、こちらを向いた。こごみちゃんは、ぼんやりとした表情で顔色を変える事なく、ジッと座っている。 「でも、多分違う。それじゃメロドラマだ。あの二人は、同じ病院の医者と看護師。はたから見て、仲はいいけれど男女の仲ではないという証言さえあった」  少し緊張した空気が漂ってきた時、パスタとパエリアが置かれた。 「これは、俺の予想だ。間違いがあったら言ってくれ」  俺はそう言って、語り始めた。  府中に誰か、佐々木一太郎君の父親に恋慕していた女がいる。  それが誰なのかは分からない。  ただ、伊藤さゆりさんの関係がある、女性だと思っている。  こごみちゃんはフォークを手に持ったまま、驚きの顔になる。
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