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翌日。
俺は赤羽駅の東口前に立った。
事故現場には、花が置かれている。今日も赤羽駅周辺は賑わいを見せており、この通りは混雑が絶えなかった。
犯人はこの場所へ表れるだろうか。
暫くして、俺の隣に誰かが立った気配がし、傍らを見る。
女性だった。
年は三十半ば位だろうか。
伊藤さゆりさんの顔を思い出す。たった一回しか見たことがない。この人が、伊藤さゆりさんの叔母なのだろうか。
ベージュのコートに、黒いタイツ。ハイヒール。
何か後悔しているような、顔にも見える。
「貴女は伊藤さゆりさんの、叔母様ですか?」
俺は思い切って話しかけてみる事にした。
違ったらきょとんとするであろうと、思ったから。
その女の顔は、驚愕だった。
図星とみていいだろう。
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