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7月20日
「凪くんは俺といて楽しいの?」
そんなこと言うなよ。楽しいよ。
「俺は楽しいな」
そう。俺もだよ。今度四年に一度の流星群が来るらしいよ。見に行こう。
「…うん」
…約束な。
「…うん」
耳元で聞き慣れた目覚ましの音がする。
いつまでもうるさいので、ごそごそと携帯を探してアラームを切った。
あれ、何してるんだ?
確か俺は、屋上で、神様にあって、それから。
携帯の液晶画面を見ると、日付が7月20日。
「…あれ?」
今日って7月20日?8月29日じゃなくて?
携帯壊れたのか?
つんつんと、液晶を触っていると突然ドアが開いた。
「凪!いつまで寝てるの!遅刻するよ!」
母の怒鳴り声で、はっきりと目が覚めて来る。
「今日って8月?」
「はぁ?何言ってるの?まだ7月よ!早く起きてご飯食べてちょうだい!」
母親は呆れたように言い捨てて、ドアを閉めた。
「…夢じゃなかったんだ」
神様と名乗る男にあって、棗を助けたいって願ったから。
本当に、過去に戻っている。
凪はベッドから起き上がると、階段をバタバタ降り、洗面所で顔を洗った。
「棗を助ける。俺が、絶対に」
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