8月29日

9/11
前へ
/13ページ
次へ
「はいはい」 受けるはずの衝撃が来ず、知らない声にはっとなる。 目を開けると、何もない真っ白い空間に寝転がっていた。手足がしっかり動く。 あれ、俺死んだのかな。 起き上がる事をせず、ぼーっと寝転んでいると、ひょいと、見知らぬ男が顔を覗きこんできた。 「はぁ!?」 いきなりのことに、がばっと勢いよく起き上がる。 顔を覗きこんできた男は、凪の前に立っていた。 「呼んだ?」 「…は?」 何のことかわからず、ただ困惑していると、男はぽりぽりと後頭部を掻いた。 「呼んだでしょ」 「いや、呼んでねーよ…」 男は真っ黒な髪に真っ黒な上下スウェットという格好だった。 見るからに怪しい姿に、ただ、外見が黒いということで、自分を迎えにきた死神だと思った。 「神様って」 「…えー、呼んだっけ…」 夢なのか現実なのか、だんだんわからなくなってきた。 確かに、落ちる時神様とは唱えたが。 「いや、神様とは言ったけど、死神に来られても」 全身真っ黒男は、やる気のない目をゆっくり瞬かせてるため息をついた。 「俺が神様だけど」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加